大学を除籍された京都市職員を分限免職するのは無理筋な理由

公務員

免職が無効となったという判決からでもいくつか読み取れる事実があります。
また、出世をあきらめてしがみつく公務員を追い出すのは生半なことではありません。

 

 

 

スポンサーリンク

大学を除籍されたことを隠していた市役所職員と、京都市人事課との闘い

先日、大学を除籍されて分限免職を受けた京都市職員の地位確認訴訟で、京都市側敗訴(免職無効)の判決が出ました。

「京大在学中に学生運動で放学処分」隠し免職、京都府の処分取り消し 京都地裁(京都新聞) - Yahoo!ニュース
京都大在学中に学生運動に関わり放学処分を受けていたことを隠していたとして、京都府から分限免職処分を受けた元府職員の男性(29)が、府の処分の取り消しを求めた訴訟で、京都地裁(藤田昌宏裁判長)は24日 - Yahoo!ニュース(京都新聞)

 

事件の概要

・元市役所職員は学生時代、学生運動にかかわって授業妨害などを行ったことで無期停学を食らっていた
・そのことを隠して「卒業見込み」と履歴書に書いて市役所の地方上級を受験
・この年に大学は退学処分
・翌年、京都市役所に採用された
・人事課に大学を除籍されたことが発覚して分限免職処分を受けた
・元市役所職員が、地位確認訴訟を起こし、免職は無効の判決が出る

元市役所職員の男性が何をやったかは詳しく書かれていないですが、市役所としても免職したかった気持ちは分かります。
とはいえ、この件は分限免職を強行するのはやや無理があります。その理由を以下、まとめました。

 

 

①地方上級で採用されるのに大卒は必須ではない

地方公務員の採用試験も高卒の初級から大卒の上級がありますが、上級に関しては「大卒程度の能力担保が必要」というだけで、筆記で合格点を取って面接をクリアすれば採用されます。
高卒採用に大卒は受験資格がありませんが、逆の場合は受験資格には問題ありません。高卒→公務員予備校→地方上級という人も実在します。

ただ、初任給がどうなるかは、採用される自治体や機関によって違うようです。

 

 

②卒業見込みはあくまで卒業見込み

もしも「卒業見込みで受験して留年したら採用取り消し」というルールがあれば採用取り消しになっても仕方ないですが、公務員の場合中退したとしても、そのまま採用されることが多いです(ただし、その場合高卒区分扱いになることもありますが…)。

今回の事件でも裁判官が免職を無効という判決を出しているので、卒業できなかったら内定の資格を失うようなルールではなかったはずです。

 

③「大学の処分」は前科と言うには弱い

確かに刑事罰や民事的責任を負った経歴は賞罰として申告しなければ重大な詐称となるケースが多いようです。
ただ、大学による懲戒処分がどれだけ公的な影響力があるのかと言われると、微妙なところでしょう。

では「大学を除籍された人は採用取り消し」とするならば父親がリストラされて学費を払えなくて除籍になった人も採用を取り消すのか?ということになります。
「懲罰的な理由で大学を除籍された場合」とするならば、もしも厳しめのミッション系の大学でミサ懈怠を繰り返したりとか、全寮制の高校で寮の門限を守らなかったという理由での除籍を分限免職の対象に含めてもいいのでしょうか?

また、今回慌てて「除籍された人」への取り扱いを追加したとしても遡及して元職員に適用することはできません。

 

 

 

京都市役所の人事課でも扱いに困る理由

もし京都市が裁判に負けて本人が復職を望んだら、職場に帰ってきます。

今回の件で人事課も「弁護士などと相談して控訴するかどうか検討する」と言ってましたが、このまま市役所が負けてしまう可能性も高いです。
負ける可能性もあることもさることながら、その後、元職員が復職した場合、更に取り扱いに困ることは容易に想像できます。

「組織と争って戻ってきても針の筵だよ。居づらいでしょ?」

という人もいますが、少なくとも「学生運動で停学を受ける程度に過激なことをして」「分限免職されたら地位確認を起こす」ような人なので精神的にはタフな可能性は高いですし、職場内での出世欲や向上心を捨てて居座ることは十分にできます。

 

 

①公務員は、和解金の提示は難しい

一般企業ならば和解金を積んで補償交渉に応じることも多いですが、公務員の場合はどういう使途でいくら使うかは法律で決まっています。そのため、誰かの裁量で勝手に和解金を積み上げることは非常に難しいですし、少なくとも秘密裏に行うことは不可能です。

本人のあずかり知らぬところで不正採用された職員に対する山梨市長の対応のように、トップが自腹を切ることは出来るかもしれませんが、そこまで機動力のある人はそうそういません。

 

 

②「人事評価で冷や飯食いを食わせてやる!」は根性がいる

「査定は常に最低評価にして、仕事はとことん干す」ということも非常に難しいです。
本人が大人しく言われるがまま、されるがままになる人ならばできるかもしれませんが、特にC評価以下をつける場合は指導方針を立てて指導のフィードバックを半年後しなければいけません。その際に「仕事を取り上げて徹底的に干してました」なんて公的には言えませんし、不服申し立てされると返す言葉がありません。

部署の管理職も別にその職員を追い出すことだけが仕事ではないので、そんなことするよりも適当にB評価つけてお茶を濁した方が楽です。

 

 

以上のように、この事件に対して元職員に打つ手はかなり限られているように見えます。彼自身がどういう人となりなのか分かりませんが、免職が無効になってしまうならば、必要以上につつかないでお茶を濁すか、仕方ないから受け入れて一緒に仕事していくかしかありません。

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました