公務員の終身雇用制度を廃止するのが困難な理由

働き方
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厳密には、終身雇用制度を廃止するためにクリアするべきハードルがある

こんばんわ、幹事長です。

 

先日、経団連の会長やトヨタの社長が「終身雇用制度を維持するのはもう限界」と言ったことがニュースで取り上げられました。

 

それを受けて、今年来年に方針が大きく変わることは無いでしょうが、徐々に解雇規制の緩和など、これまでのルールは変化していく可能性は高いです。

 

さて、親方日の丸である公務員はどうなるのでしょう?

個人的には、現時点で公務員の身分保障と終身雇用制度を切り崩すことはできないと思います。

理由は、法律による担保が存在することもありますが、現時点での公務員の仕事の性質や異動・昇進のシステムによるものが大きいです。

このまま「成果主義」「解雇OK」に方針を転換することには無理があります。

 

今回はその詳細についてまとめました。

逆に言えば、これから述べる内容についてクリアできれば、終身雇用制度を撤廃できる可能性は出てきます。

 

 

 

1.公務員の仕事は何を成果と呼ぶのかを評価しにくい

勿論、仕事の中には成果が見えやすいものもありますが、成果として評価しにくいものもあります。

 

もしコストカットが成果ならば、地方で限界集落と呼ばれる地域のインフラをどんどん撤退させて少数派の住民の苦情を黙殺すれば成果になります。

あるいは、住民票300円のところ330円に値上げすればそれなりに財政は潤います。

住民票は役所で取得するしかないので、多分利用者が減ることはないでしょうし、それを提言した人は評価されます。

 

「生活保護の受給をどれだけ阻止したか」が評価基準になってもよろしいのでしょうか?

 

 

 

2.人員配置の仕方は適性よりも頻繁なジョブローテーション

国家公務員、地方公務員を問わず、特に公務員の場合、数年おきに担当や部署が変わります。

 

頻繁なジョブローテーションがあることで、必ずしもその人の希望と適性に合った部署に配属されないことが多々あります。

確かにどこに行ってもハイパフォーマンスを出せる人(逆もまた然り)もいますが、過去の人事評価履歴を遡ってみたら「本当に同じ人なのか?」と言った人もかなりいます。

#人事評価履歴と言っても標語は大抵BかAですが、非公式に引き継がれている本人の所見の方が重要です。

 

こんな状況で公務員の解雇規制を緩和すると

管理職「君、パフォーマンス低いのでやめてもらえますか?」

職員「自分はサーバーなんて触ったことないのにIT関係の部署に放り込まれたからこんな結果になったんだ。別の部署ならば人並みに務まるからまず異動を決めた人の責任を追及してほしい」

 

というやりとりが発生することが目に見えてます。

終身雇用制度が切り崩されてどういう制度になるかはわかりませんが、もしこれが裁判にでもなったら、人事異動の妥当性を争われます。

勝敗はともかくとして、その人の人事を決めた人にもバッテンをつけざるを得ません。

#少し前に、国家公務員の係長にこの話をした時に「厳正にパフォーマンスが評価されるようになったら、適性に合った配置を上の人も本気で考えるようになるんじゃないの」と言っていました。

さもありなん、とは思いました。

 

ちなみに、転勤が頻繁にあることは別に悪いことばかりではありません。

「ゼネラリストを育てる」という名目でもありますが、特に国家公務員のように全国に出先機関がある場合「年季の入ったベテラン」が居座る弊害を防ぐという意味もあります。

年季の入った人が職場にいると、

・周囲の人が意見を言いづらくなる→不正や不適切な手続き発生の原因

・仕事の属人化→余計人を動かしづらくなる

 

ことが起こりがちになります。

以前、どこかの空港で中学生が社会科見学に来た時に、管制官が中学生に機械を操作させたという不祥事がありました。

この時、長年職場に所属していたベテラン職員が指示したことによって、周囲が意見を言いにくい空気が作られていたそうです。

 

 

 

3.縦割り行政であるうちは「成果」を厳密に測れない

今の公務員は部署・省庁ごとに仕事が縦割りで分かれており、予算も同じく縦割りで割り振られます。

「自分たちの部署がどれだけ予算を取ってこれたか」

「自分たちの部署がどれだけ出費を抑えたか」

ということが官僚の腕の見せ所になります。

ただ、現時点ではそれが昇進に影響すれども、成果そのものが公務員一人一人の去就にまで及ぶとすると、問題が発生します。

 

①厚生労働省がひっ迫した福祉の予算を絞るため、生活保護の需給条件を厳しくした

②生活できない人が、無銭飲食を繰り返して刑務所の被収容者が激増した

③法務省は補正予算を組むことになった

 

さて、この例が実際に起こると、厚生労働省の福祉担当は高評価で、法務省の担当者は低評価になってしまいます。

しかも、トータルでは国の支出は増えていますが(刑務所で収容するコストは生活保護より高い)、厚生労働省では担当者が高い評価を受けてしまいます。

 

一方で低い評価を付けられた法務省の担当者は厚生労働省に対して憎しみすら抱くでしょう。

 

「この事情なら仕方ない」とアナログな評価を取り入れるという手もありますが、結局今と何が違うんだということになります。

また、上記の例は非常にシンプルなモデルを用意しましたが、もっと複雑で因果関係を説明しにくい事例はいくらでもあります。

 

そんな足の引っ張り合いの応酬のためにリソースを使うのも馬鹿らしいです。

 

 

 

公務員の終身雇用制度に切り込むならば、業務フローも改革する必要がある

以上のように、現状のまま終身雇用制度だけを取り外した際の問題を取り上げましたが、解雇規制緩和を取り入れるならば大掛かりな改革が必要になります。

 

これは官に限らずあらゆる職場にも該当するものだと思います。

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